株価チャートは、実に奥深いものです。株価の流れだけを捉えれば良いのかと思って見てしまうと、重要な情報を多く見逃してしまいます。チャートの情報を有効活用することは、バブル時のような一本調子で上昇する相場ではない現在の東京市場に臨むために有効な投資手法といえます。
さて、前回、“株価チャートはどれを見ても同じではない”ということをご説明しました。日足、週足、月足それぞれデータの成り立ちが異なり、それぞれが示すトレンドが違うということもお話しました。それでは、銘柄選びの際にどのような使い方をすると良いのでしょうか。短期投資という観点でご説明しましょう。
短期投資をする際には、短期的なトレンドを把握するため、基本的には日足チャートを用いるのが良いでしょう。もし、月足チャートを用いた場合、ローソク足1本ができ上がるまでの間に買い・売りのタイミングが到来してしまいます。これでは売買の判断ができません。ですから、売買タイミングを捉える際には、日足チャートを用います。目先のトレンドが上昇しているのか、または下降しているのか、アヤ押しなのかなどということは、やはり日足チャートを用いて考える必要があります。
しかしながら、短期投資とはいえ、この銘柄が長期的に見て、“上昇しているのか下降しているのか”というトレンドを把握しておいた方が良いものです。もしあなたが注目している銘柄が数年かけて下落している「下降トレンド」の場合、日足チャートでトレンドを分析して今は目先が上昇トレンドだとしても、それは短期的なものであり、3倍4倍と大きなリターンを狙えるようなタイミングではないでしょう。下降トレンドの中の短期的な上昇ですから、短い期間でごくわずかなリターンを得るという戦略で臨むのがベストかもしれません。もしも、この場合、月足チャートが上昇トレンドであるなら、戦略が異なることでしょう。
このように、短期投資とはいえ、この銘柄が長い目で見て現在どういうトレンドにあり、更に株価が長期的な視点でどういう水準にあるということは確認しておく方が良いでしょう。そのためには、日足、週足、月足チャートを広くチェックする必要があることは言うまでもありません。
(2010/6/4掲載)