前回は、短期投資の場合に月足チャートを見て、株価の大きな波動を捉えることをご説明しました。日足チャートだけ見ていると、目先の相場を捉えることはできても、大きな波を捉えることができません。大きな波を捉えるためには、長期足を見る必要があります。
チャート分析は、
売買タイミングを捉える作業と、株価の方向性を捉えるトレンド分析の二つが満たされて初めて実戦が可能になります。それぞれのチャートの持つ特性を上手に使い、冷静な判断をしていきたいものです。
ところで、このような経験はないでしょうか。
日足チャートを見ながら売買している場合、「買った銘柄の株価が上がっていた時に、少し下がり始めたから売価した。1割のリターンを得ることができた。しかし、あなたが売却した1カ月後に、その銘柄はどんどん上昇し、3割のリターンを得られる銘柄となっていた――」。これを知った時、あなたは、「もっと保有していればよかったのに」と後悔したかもしれません。どのチャートを見ながら分析を行っていたのでしょうか?少なくともあまり上手な売買とはいえませんね。
どうしてこのようなことが起こるのでしょうか。
今回の例では、日足チャートだけで売買しています。日足チャートは小さい波動を捉えます。つまり、少しの波動に反応して売買タイミングを導きます。売買回数が多くなり、当然のことながら、1回の売買で得られるリターンも小さくなります。これでは、「売買回数ばかりが多くてリターンが得られない。手数料を稼ぐのがやっと。」という投資家になってしまいます。あなたの臨む投資家像とは異なるのではないでしょうか。そういう時に、週足チャートをご覧ください。そうすると、あなたの買ったタイミングは中期的には上昇トレンドがスタートしたばかりで、今はまだ順調な上昇トレンドの途上ということになるはずです。日足では売却のタイミングが早すぎたことになります。
日足チャートだけでは読み取れない情報、それを教えてくれるのが週足や月足チャートなのです。
(2010/6/11掲載)