これまで3回に渡り、同じ銘柄でも、投資スタンスや指標により売買タイミングが異なるというご説明をしてきました。今回は、1度ある銘柄を買い、その後株価が下がった時の売買判断について考えてみましょう。
あなたが上昇を期待して買った銘柄の株価が下がったとしましょう。この時、Aという情報では「損切り」と判断し、Bという情報では「買い下がり」つまり「ナンピン」と判断したとしましょう。あなたはどうしますか?
Aという情報は、「損は最小に」という考えにより積極的に損切りを行うと推測することができます。ここで潔く損を確定し、余った資金で別の銘柄に再投資することができます。ここで潔く損切りをしたために、新たな銘柄に乗り換えることができ、損以上のリターンを得ることできるという結果になることもあります。一方、買い下がり、すなわちナンピンの戦略を取ると、買い単価を下げることができるため、少しの上昇幅でリターンを得ることが可能となります。しかしナンピンをするには新たに資金投入が必要です。すなわち、余剰資金がないという方には、この手法を選択することができません。
あなたが2種類の投資顧問などの情報を活用し、このパターンに出くわしてしまったなら、それぞれの会社が提供している考え方をよく確認された方が良いでしょう。どのような考えで情報提供をしているのかということを知らずに情報を参考にしてはいけません。一方、あなたが独自に分析し、考えが2通り出てしまったのであれば、あなたの基本的な投資の考え方を尊重した上で、余剰資金と相談するのも良いのではないでしょうか。「余剰資金がないから、損は素早く切って再投資する」という考え方もありますし、「余剰資金も時間も潤沢にあるので、買い下がってじっくり上昇するのを待とう」という投資手法を選択するのも一法でしょう。もちろん、どちらの手法も必ず成功するとは限りませんから、思うように株価が上昇しないというリスクがあるということを事前に理解しておく必要があるでしょう。
いずれの方法でも、株価は思った方向に動くとは限らないということを覚悟していくべきです。そのことのストレスに耐えるのも、投資をする私たちの課題なのです。
(2010/9/17掲載)