株式投資のもっともポピュラーな投資手法として「現物買い」による手法がありますね。これは、古くから用いられてきたものであり、投資の初心者もまずは現物買いから入られるでしょう。「現物買い」による売買は、上昇相場においては効果のあるものです。株価が上昇する間株を保有し、リターンを手に入れるという手法です。現物買いは、費やした以上に資金が減ることがないため、株式投資の基本中の基本として多くの方が利用されています。やはりリスクは限定的にしたいものですからね。OFFICE REIでも、そのようなニーズにお応えして、現物投資における投資情報をたくさんご用意しています。
しかし、昨今の日本経済では、上昇相場が想定できない銘柄があり、信用売りを行うという投資家の方が増えてきました。つまり、株価が下げそうな時に、株を借りてきて、信用売りを行い、株価が下がったところで買い戻すという手法です。現物買いが「上昇」で利益を得ることに対し、信用売りは「下落」によりリターンを得ます。
その結果、ドテン売買という手法を用いる方もいらっしゃいます。現物で買い、株価が上昇すると、それを手仕舞い、同時に信用売りを行います。そして株価が下がると、その信用売りを手仕舞い、同時に現物を買います。一瞬たりとも休んでいるヒマはありません。買い、売り、買い、売りの繰り返しを行います。この時の「買い」サインは、「信用売りの手仕舞い」と「現物買い」を意味し、「売り」サインは「現物の手仕舞い」と「信用売り」を示します。現物買いのみで行う人の「買い」と、ドテンで行う人の「買い」の認識はずいぶん違うわけですね。現物の方は「買うだけ」ですが、ドテンで行う人は「手仕舞いと買いを行う」必要があります。このように、同じタイミングで同じサインが出ても、あなたの投資の考え方により、行動は異なるわけなのです。
どの手法を用いる場合でも言えますが、あらかじめあなたがどのような手法で相場に臨むかで、売買サインの活用方法が異なります。ですから、サインを見てから売買するのかどうかを考えるのではなく、先に「私はこういう方針で相場に臨む」と決めておいて、サインを確認したら迷わず行動することです。テクニカル分析の醍醐味は、サインを生成するダイナミックスの切れ味とそれに躊躇(ちゅうちょ)なく乗って利益を得る達成感にあると言えそうです。
(2010/10/1掲載)