システムというのは、あらかじめプログラミングされており、人間のように融通は利きません。だからだめだと思っていては、システム投資をはじめることができません。システムによる投資を行うためには、まず、「融通が利かない」ことのすばらしさを信頼することからはじめます。それが大切なのです。
もし、融通が利く人が投資で成功するなら、それを得意とする人間が投資で大成功することになります。ですが、実際はどうでしょうか。わたしたち人間が投資すると感情に左右され、慌てふためいたり、ぬか喜びしたり、結果、損をしていました。「買値より下がり損切りしようと思ったものの、売るに売れずズルズル保有し、塩漬けになってしまった」とか「まだ上がると信じていたら、まったく上がらずそのまま塩漬けになってしまった」など。思い当たることはないでしょうか。「融通が利けば投資に成功する」というほど、相場は甘くないのです。逆に、かたくなに売買のルールを守って、統計的に「うまく行く」スポットを探り当てれば、結果はついてきます。システムによる投資が行われるようになったのは、そうした、統計的なテストが十分に行われる環境が整ってきたことによるものなのです。
人間というのは、自分に甘く他人に厳しくなるということがあります。自分が買った銘柄が少し下がると「今は押し目。また戻るから大丈夫。」と自分で自分に言い聞かせることがあります。心当たりはありませんか。ところが、相手がシステムとなると、手のひらを返したように厳しいものです。「買ったのにどうして下がるの!システムなんて信じられない!」と、もう、それは辛らつです。しかし、落ち着いて考えてみてください。システムが分析した銘柄だって、一時的に評価損が出ることはあります。マイナスの期間を経て上昇するかもしれません。もし、沈んだままマイナスなら、損切り機能が動くこともあります。もちろん、リターンが得られることが一番嬉しいことですが、損失が出たとしても、ズルズル保有しつづけ塩漬けということにはなりません。
システム投資では、人間のように、融通無碍(ゆうづうむげ)に判断を即興するのではなく、あらかじめ決められたルールをたくさん組み合わせ、銘柄によって判断基準に採用されるルールを選んでいきます。そのルールの数や、判断基準になる要素の数で、組み合わせは莫大な数になります。それを実践するのは、大海に涙するがごとし、「打てば響く」とは行きません。しかし、実践を繰り返すうちに、うれしい結果も見えてきます。
(2010/11/12掲載)