システムが分析した結果を客観的に見ると「どうして安値から大分上がったところで買って、高値から随分落ちたところで売っているのだろう?」と思われたことはないでしょうか。「私は、システムにお金を払っているんだから、もっとしっかりやってちょうだい」と怒りをぶつけたくなることもあるかもしれません。しかし、システムの代弁するわけではありませんが、投資システムとは、上昇傾向か下落傾向の転換点を計測するもので、高値・安値で売買を保障する機械ではありません。そんな機械がほしければ、タイムマシンの開発に乗り出していただくしかないといわざるを得ません。そして、それは、チャートで見てしまうと、いかにも簡単にできそうなほど、高値や安値の位置は明確なのです。相場の過去(チャート)は、現在進行形の相場の記録そのものなのに、売買のタイミングを決定する手段となった途端に、異質な存在となるのです。
そもそも、株価が高値を付けたということは、後にわかることなのです。高値を更新している時は、リアルタイムにわかります。それは、過去の高値という「基準値」があるから、「それを超えている」ということを認識することができます。しかし、今が「最高値である」というのは、誰にもわからないことなのです。それは、翌日以降の株価推移を確認してから「あの日が高値だったのね」と判断するのです。つまり、高値を付けた当日に「今日は最高値だよ」と誰もわからないのです。指標などの分析により「そろそろ高値近辺で警戒が必要かな?」という認識ができる場合もあります。しかし、その判断が外れ、翌日更に高値を更新するということもあります。
「どうして高値や安値から外れたところにサインが点灯するんだろう?」と疑問に思われるかも知れませんが、高値や安値から外れたところにサインが出るということは、株価の成り立ちから考えると当然のことと考えられますね。「システム投資が出すサイン」というのは、未来から来た予言者が告げるものではありません。システムもあなたと同じように過去の株価を分析し、売買サインを判断するのです。システムは日々切磋琢磨し、より安値に近いところで買いサインを点灯し、より高値に近いところで売りサインに点灯しようと計算を繰り返しています。最高値や最安値にサインは点灯できませんが、売買の結果が最大になるように、仕切りなおしをひたすらしているのです。システムには感情がありませんから、ちょっと株価が下がったところで、常に迷わず「売り」と判断することができます。この潔さは、人間にはないものです。人間なら「きっとまだ上がるよ」「前回は間違えたから」とズルズル持ち続けてしまいそうなところも、感情のないシステムには、スパッと判断を下すことがきるのです。
システムの得意とするところ、それは、気が遠くなるような数のテストを繰り返しながら、決断の時を修正し続け、いざという時は迷わず行動するということです。
(2010/12/03掲載)