資金に対する考え方、売買に対する考え方で、投資の成績は大きく変わります。そこで誰でも必ずといってよいほど判断に悩む「損切り」について考えてみましょう。
100%の確率で利食いができれば良いのですが、それは残念ながら難しいものです。そこで、株価が買値より下がってしまった場合の対処方法をきちんと考えておかないといけません。株価が下がった時に取る手法はいくつかあります。潤沢な資金があるなら、「買い下がり」という方法が考えられます。しかし、必ずしも資金が手元にあるとは限りません。その場合「保有し続ける」か「損切り」から選ばないといけません。もちろん、それぞれリスクがあります。
「保有し続ける」と、確かに損は確定されません。ですから、株価が再び戻ってきた場合、利益を手にすることが可能です。ただ、株価は必ずしも戻るという保証はどこにもありません。つまり、株価がどんどん下がり続けてしまえば、今よりも大きな損を更に抱え込んでしまうことになるのです。ですから、保有し続けるということは、将来利益を得ることも可能かもしれませんが、更なる損失を被るかもしれないということにつながります。
一方、「損切り」をするという選択肢もあります。これを選ぶと、どのようになるのでしょうか。確かに、損を確定してしまいますから、資産を確実に減らしてしまいます。これは痛手です。ですが、考え方を変えてみると、これから大きくなるかもしれない損を最小にし、そしてこの投資資金を回収した上で、新たな銘柄に投資するチャンスを得るということにもつながります。新たな銘柄でリターンを得ることができれば、資金を有効に使えたといえるのではないでしょうか。
わずかな「損切り」でも、それを頻繁に繰り返すと、資産に与えるダメージは大きいものになります。「損切り」のマイナスのイメージが強いのも、そのためです。課題は、「損切り」にばかりつながる商いをしない。これに尽きるのです。売買サインの精度が問われる所以(ゆえん)はそこにあります。
(2011/01/28掲載)