「投資で利益を得たい!」と投資の解説本を読みあさったという経験はありませんか。その時よく目にしたキーワードの1つに、「損切り」がありましたね。
「損切り」とは、含み損が出た時にリスクを拡大しないために商いを解消して、最小のリスクで抑える行為のことです。保有していた企業が倒産して、1円にまで下がってしまうということ、損失が拡大することもあります。痛みの小さなうちに損を切り、残った資金を使い再投資するということも大切でしょう。しかし、だからといって、あなたの投資する銘柄すべてに対して損切りを実行していては、資産は減る一方となり、増えることはありません。売買すると、手数料もかかります。ですから往復手数料分と損切り分で、どんどん資産が減るのです。損切りを継続して実行することは、自ら資産を減らしていく行為そのものです。
では、私たち投資家は、損切りから解放される術はあるのでしょうか。いいえ、それはないでしょう。株式投資に「100%リターンが得られる」という手法はありません。順調に株価が推移していても、企業の不祥事などで、株価が大暴落することもあります。ですから、損切りをしなくても良いという投資手法はないでしょう。しかし、損切りになる可能性を減らすことは可能かもしれません。まるでバーゲンセールで買い物をするかのごとく「今、これを買わなきゃ損!」と飛び次いて売買したり、明確な戦略なく投資すると、損切りを行わなければならない可能性が高くなるのではないでしょうか。
また、損切りを実行するタイミングの判断も重要でしょう。株価のトレンドを分析すると、見えてくるのではないでしょうか。上昇トレンドの押し目で一時的に安くなった株価と、下降トレンドで下がり続けている株価では、「含み損」の意味が大きく変わってきます。また、「短期戦略で投資を行うのか」「中長期戦略で臨むか」でも戦略は変わります。短期戦略の場合、少しずつリターンを得ていくわけですから、わずかな損でも切る必要があるかもしれません。しかし、1年2年という時間をかけ、上昇トレンドに乗って投資をするなら、少々の損で売却していると、大きなリターンを得るチャンスそのものを失うこともあります。
損切りに対する考え方は、投資戦略と深い関係があります。まずはあなたの投資戦略を明確にし、どのように相場に臨むのかを考えて上で、損切りに対して考えるのが良いのではないでしょうか。
(2010/4/2掲載)