「損切りラインをいくらにするか」ということを考えなければならない時、あなたならどのように考えるでしょうか。いろんな考え方があるでしょう。例えば「私は1万円下がったら損切り」とか「私は1割下がったら損切り」など……。しかし、どの銘柄も同じ方針で臨んでも良いのでしょうか。
「1万円下がったら損切り」という戦略を取ったとして考えましょう。株価というものは、様々な値が付いています。500円のものや10万円以上するものなど様々です。例えば、「株価で1万円以上下がったら」と決めてしまうと、500円の株価に対して1万円下がるというのはマイナスになるので、考えられない数字になります。
もし、500円の株価の銘柄が、仮に最低単位が1000株だったとして、500×1000株=50万円で考えるなら、考え方として可能かもしれません。しかし、50万円が49万円になったら損切りとなるわけですから、2%の下げで損切りを実行しなければならなくなります。
一方、1株10万円で、最低単位が1株の銘柄があります。この損切りラインを1万円と設定した場合は、9万円で損切り実行というわけですから、1割の下げで実行するということがいえます。同じ「1万円」の損切りでも、これほど考え方が異なるわけです。
では、すべて同率で損切りを行うとどのようなことが起こるのでしょうか。例えば1割下げたら損切りを行うとしましょう。10万円の銘柄は9万円になった時に損切りをし、500円の銘柄は450円になった時に損切りをするということになります。本当にこれで良いのでしょうか。
数字上はこれで良いように感じるかもしれませんが、株価の動きを忘れていませんか。株価はすべて同じように動くわけではありません。あまり動かない銘柄がある一方で、日頃から1割上下することはめずらしくないというくらいよく動く銘柄もあります。投資対象とする銘柄が頻繁に1割以上動く銘柄であれば、1割の損切りラインを設定してしまうと、すぐに損切りラインに引っかかってしまいます。このような銘柄を選んだ場合は、1割下がったときというのは適切なタイミングでないのです。
投資対象銘柄を決めたら、その銘柄の値動きの特徴をつかんだ上で、損切りのラインを決めるべきです。銘柄も人間と同じで個性があります。人物評価をテストの点だけで行わないように、銘柄も「銘柄の個性」を評価し、その上でどのような戦略でその銘柄に臨むかを考えていく必要があるのです。
(2010/4/16掲載)