OFFICE REIには、「投資顧問にしかできない、全銘柄を対象にした分析を行う機能がある」というお話をしましたね。どのような分析結果が掲載されているのでしょうか。その1つを今日はご紹介しましょう。
さて、みなさんに1つ質問をしたいと思います。どなたにも1つや2つお気に入りの銘柄があるものです。「その銘柄に株価の動きが似ている銘柄は何ですか?」と質問された時、あなたは答えることができるはずです。ご自分の贔屓の銘柄と同じ動きをする銘柄を常に意識するのは、自分の投資対象が仲間より先行しているか、出遅れているかを感覚的に捉えておきたいからです。よく似ているグループを把握するには、経験則から、いろいろと答えを導き出すことができます。常識的に考えて、同じ仕事をしている「同業他社」ならよく似た動きをするはずです。「平均株価に対する寄与度の大きい銘柄」なら、シンプルに、日経平均株価との連動をしっかり見ることが大切です。しかし、似ているであろう銘柄を憶測や類推で捉えるだけでは不十分です。本当に同業他社は全部「そっくりさん」で、まったく異業種の銘柄が入り込む余地はないのでしょうか。突き詰めていくと、「憶測の域を出ない。わからない……」という答えに辿りつくのです。このわからない部分をどれほどきめ細かく把握しているかが、投資経験の長さからくる、玄人投資家の相場観や売買タイミングのセンスを決定づける部分なのです。
実は、この、素人には「わからない」という答えで片づけられてしまう「場味(ばあじ、相場の雰囲気)を知る武器」がOFFICE REIにはあるのです。全銘柄各々によく似ている動きの銘柄、反対の動きの銘柄を分析する機能が備わっているのです。あなたが注目する銘柄のチャートを表示すると、チャート下にズラリとリストが出てきます。これが「その銘柄に対して似ている動き、反対の動きを示すリスト」なのです。ランキングをご覧いただくと、どうでしょうか?同業他社の名前も出ていますね。最近ではETFなどが上位にランキングする銘柄が増えてきています。銘柄によっては、上位がズラリとETFで、個別銘柄の名前になかなか出会わないようなものもあります。それは、同業全体の株価のボラティリティーが落ちていて、値動きに個性がなくなっていることも意味します。一方で、まったく異なる業種の銘柄がズラリとランキングされるものもあります。ファンダメンタルズとは違う要因で動いていることは明白です。似ている動き、反対の動きには、それぞれ「似ている度合い、反対の動きの度合い」というものがあります。「どれくらい良く似ているか」を数値で示したものです。人間に例えるなら、一卵性双生児のようにそっくりなのか、姉妹くらいなのか、または親子くらい似ているのか……。その度合いを数値で表しているのです。相関係数というデータがそれです。このデータは、調べたい銘柄と、そのほかの銘柄を、総当たりで類似テェックして相関度を求め、その上位にランキングされた銘柄のリストを作ります。上から順にご確認ください。「1」により近いほどよく似た動きをします。「−1」により近いほど、反対の動きが強いと、即座に応えることができます。
相関係数に関しては、「REIちゃんと株式投資」で詳しく解説しています。テーマ2の、第10回から15回までをぜひご覧ください。玄人投資家にしかわからない経験則の一部を、データで統計分析した一例です。
(2012/8/10 掲載)